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京都精華大学立体造形コースのブログです。

   
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HOMMAGE !
 こんにちは、三回生のイノウエです。

六月になり、梅雨入りした京都ではまいにち雨がしとしと。
すっかり雨の季節になりましたね。
湿気が多くて思うように制作が進まない!と嘆きたくなることもしばしば。
けれど、雨の止んだタイミングを見計らって帰宅した昨日の晩、下宿の裏の小川でが飛んでいるのを見ました。
水の澄んだ小川の多い京都では、毎年この季節になると音もなく舞う蛍の姿にあちらこちらで出会うことができます。
一、二回生のころ、わざと暗くなるまで情報館で待ってから帰っていたのを思い出しました。

こんな季節の感じ方をできるのも、京都の魅力ですね。


さて、三回生は先日、オマージュの合評が行なわれました。

オマージュとは、フランス語でhommage。
芸術や文学においては、尊敬する作品や作家に影響を受けて、似たような作品を創作すること。
また作品のモチーフを過去作品に求めることも指す。しばしばリスペクト(尊敬、敬意)と同義に用いられる。  (By YAHOO!辞書)


尊敬する人、心揺さぶられた人、作品、自分がアートを志すきっかけになった人、今回調べて初めて出会った作家さん、などなどオマージュの対象となった人は様々。
三回生がそれぞれ考えたオマージュのかたちを、少しだけではありますがご紹介したいと思います。


Marc Chagallのステンドグラス三部作より、“演劇と舞踏”。
(実はこれ、黒ボンドと水彩絵の具、水のりでつくられています。)
流渓館(先生方の研究室がある建物)の階段横にある大きな窓にセッティングされたこの作品は、
コンクリートの壁でできた薄暗い雰囲気のなかでその存在感を際立たせます。
建築とのコラボレーショ」とは、西山美なコ先生の言葉。


さとうりさ “Risa Campain in Calfornia -Mother's Life”より
なんだか不思議な顔をした白い三輪車。
なんとも言えない世界観のさとうりささんをオマージュするために、
三輪車を探しまわって家の付近をうろうろしては近所のひとに怪しまれたという彼女。(写真左奥)
写真ではわかりづらいですが、この顔は針金の上からビーズ状の発泡スチロールを覆わせてつくられています。


Ryan Gander “ナサニエルは知っている”より
これは、壁に開けられた穴の向こうで水色の光と水が水中ポンプに揺れている作品。
実はこの壁だけでなく、薄暗闇にされた空間自体がつくられたもの。
ガンダーの作品では、蹴破られたような壁の向こうに緑の植物が垣間見え、その向かい側には通風口のようなものが設置されています。
これをつくった作者は、“ナサニエルは知っている”というタイトルに興味を惹かれ、自分なりに色々と考えさせられたそう。
通路にぴったりあう壁をつくるのに苦戦していました。



Mary Blair 
ディズニーのデザイナーであり、二児の母でもあるメアリー・ブレアへのオマージュとして作られたのは黒いウェディングドレス。
小さいころからディズニーに囲まれて育ったという彼女は、大人になっていく自分と、大人になりたくない自分の複雑な感情や葛藤をブレア、そして自身の母親へのオマージュとして表現したそうです。
白いパーテーションには彼女の作品であるイラストが掛けられています。
自分で着ることによって格段に自分のものになっている。」と、森口先生。


紙でできたドレスの裾やブーケには、ブレアをオマージュした絵が描かれています。
カラフルで可愛らしいイラストだからこそ、その黒いドレスが意味深に感じられる作品。


二日間に渡って行なわれた合評は、
それぞれの仲間達がどのような作品や人に引きつけられているのかを知ることができた新鮮なものでした。

私達はこの場所で学びながら制作を続けていくうえで、何かしらの影響を受けずにはいられません。
それはときにひどく悩まされることもありますが、ゆっくりと咀嚼し、噛み締めてゆくことで自分の新しい一面を引き出してくれるものだと思います。
そうやって影響を受け、及ぼし、経験を積み重ねていくことで自分自身を形成していく時間の基盤のひとつが、この大学生活なのだろうな、と。
ひとは死ぬまで自分自身をつくりかえ、形成し続ける生き物のように感じます。
だからこそ、より多くのものに出会い、知ることは大切なこと。
と、同時にひどく面白いことだと思います。

三回生の今の課題は身体。
パフォーマンスと造形の二つの発表が行なわれます。
なんとパフォーマンスは今回が初課題!
慣れない発表に模索中の三回生です。


作品をセッティングするのも制作のうち。
規模が大きくなるほどその作業は大変です。

 
シャガールのオマージュ。
階段の踊り場にはしごを立ててセッティング中。
左下のピンクのツナギが作者です。
ひとりでは大変なときは助け合い!
立体造形は仲良しです。


ガンダーのオマージュ。
通路に仕掛けのある壁を立てた作品なので、壁のうら側の秘密基地で細かいセッティング。
ちなみにここは二階の通路の行き止まり。
写真には写っていませんが、はしごを登ってフォークリフトによじ上り、窓を通って入ります。

作品を設置する場所も方法も様々。
毎回どんなところでどんなことをしているのか、わくわくします。
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